ヨーグルト研究所

ヨーグルトの効果・ダイエット方法・レシピや作り方、乳酸菌ごとの特徴を公開しています。

ヨーグルトの不老長寿説

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5月15日は、ヨーグルトの日です。

「515」なのに?と思いますよね。
でも、ごろ合わせではないのです。
これは、ロシアの微生物学者、イリヤ・メチニコフの誕生日なのです。

イリヤ・メチニコフは、ノーベル生理学・医学賞を1908年に受賞したことでも知られていますが、「ヨーグルト不老長寿説」を唱えたことでも知られています。

ここでは、

  • ヨーグルト不老長寿説
  • イリヤ・メチニコフの功績

を詳しくご紹介します。

 

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ヨーグルト不老長寿説

「老化は腸から始まる」

イリヤ・メチニコフは、「老化は腸で食物が腐敗することによって加速される」として、悪玉菌の出す毒素に注目しました。
特にイリヤ・メチニコフが注目したのは大腸ですが、大腸は便をためておくだけの袋の役割だけを果たしているとして、悪玉菌が腐敗をするにまかせている器官だとして、大腸不要論を考えました。

が、切断するわけにはいかないということで、「腸内の食物を腐敗させなければよい」という考えを提唱します。
そこでイリヤ・メチニコフが注目したのは、悪玉菌の影響を抑える乳酸菌の存在でした。
この考えから、人間の健康は腸内細菌のバランスで左右できるとして、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」の考えを、1901年に初めて提唱しました。

「乳酸菌で腐敗を止める」

腸内細菌と腐敗の関係を研究していたイリヤ・メチニコフは、続いてブルガリア地方に長寿の人が多いことにも注目しました。
ブルガリア人の長寿を担っているのは、ブルガリア人が常食しているものの中に答えがあるはずとして、細菌に着目して調べたのです。
結果、ブルガリアヨーグルトの中から数種類の乳酸菌を発見している研究に着目しました。

腸内細菌の中でも、悪玉菌(イリヤ・メチニコフは「腐敗菌」と呼んでいました)は、アルカリ性の環境を好みます。
乳酸菌は、弱酸性の環境を作り出し、悪玉菌が生きていきにくい環境を作り出します。
このことから、悪玉菌の生成を抑えるには、乳酸菌を摂取すればいいのではないかということを考え付いたのです。

同時に、悪玉菌の研究も進めました。
動物実験で、動脈硬化などを引き起こす悪玉菌の存在を確認してから、「乳酸菌は病気を防ぐ」という考えは、ますます強くなっていきます。

「ヨーグルト不老長寿論」

メチニコフの乳酸菌の研究は進みました。
野菜や果物などを摂取すると、悪玉菌による有害物質が減ることも突き止めています。
乳酸菌を加えた食べ物を摂取しても、同じような効果があることも、メチニコフの研究で明らかになりました。

そこで、1901年に「ヨーグルト不老長寿説」を提唱しました。
日本では1921年に「不老長寿論」として翻訳・出版されています。
提唱しただけではなく、自分でもブルガリアヨーグルトを常食し、自分の体で不老長寿を実践しようと試みました。

不老長寿は可能だったか

ところが、メチニコフの研究には困難が付きまといました。
悪玉菌は、減りこそすれ、いなくなることはなかったのです。
悪玉菌の作り出す物質が老化や病気の原因であると考えていたイリヤ・メチニコフは、これに大きく落胆しました。
老化や病気の原因を無くすことができれば、不老長寿は完成するはずなのに、腸内細菌のバランスは、どれだけ乳酸菌を投入しても、悪玉菌が絶滅することはなかったのです。

また、ブルガリア菌は、腸内での定着が悪く、メチニコフが期待していた、「ずっと腸内にとどまり、活動を続けて悪玉菌を減らす」という働きは弱いものでした。
このため、住み続けられないので食べ続けねばならず、悪玉菌を腸内から駆逐できないという事態に、不老長寿説は覆されてしまいました。

現在の「プロバイオティクス効果」は、メチニコフが願い続けた、「ずっと腸内にとどまり、活動を続けて悪玉菌を減らす」という乳酸菌の働きを追及しているものです。

これもまだ、追及のかなたにあります。
不老長寿説は確かに覆されました。
が、このことから、ヨーグルトは健康に良い、ということが広まり、今までヨーグルトを食べる習慣のなかったヨーロッパの国々にも、ブルガリアヨーグルトを広めるきっかけとなったのです。

イリヤ・メチニコフの功績

「不老長寿」という、人間の永遠の憧れに手をかけたかのように見えるこの説のため、ヨーグルトは一気にヨーロッパで脚光を浴びました。
乳酸菌の研究者も増えました。
悪玉菌を駆逐することはできなくても、さまざまな研究者に影響を与えたのです。

腸内フローラという考え

「病気は腸内細菌が作り出す」という当時としては斬新な考え方は、研究者に衝撃を与えました。
それと同時に、ヨーロッパの健康に関心がある人たちの心に、「ヨーグルトは健康に良い」という考えを、広く刻み込みました。

腸内にはフローラといわれる細菌叢(細菌群)があり、悪玉菌と善玉菌がいるという考え方、また、その事実が知られるきっかけを作り出しました。

プロバイオティクスの考え方

細菌のバランスを食べ物で調整することにより、体内の環境を整えて病気を減らそう、というプロバイオティクスという考え方の根本を作ったのが、メチニコフです。
それまで、病気は薬で何とかするものでした。
細菌が病気を作り出しているのなら、細菌バランスを変えてしまえば、病気の根本の原因になるという考え方を提唱したのです。

プロバイオティクスの反対語は、アンチパイオティクスです。
これは、抗生物質などを使って、病気の原因となるウイルスや細菌を一網打尽にやっつけてしまおうという考え方です。
ただし、これをやってしまうと、全部の菌を殺してしまうので、腸内バランスは一気に崩れます。

現在も、プロバイオティクス効果のある乳酸菌についての研究が進んでいます。
ですが、ブルガリア菌と同じく、腸まで生きて届いて、そこで定着して働いてくれる乳酸菌は発見されていません。
乳酸菌は、口から摂取したものを腸で定着させるのは本当に難しく、毎日摂り続けていないと、毎日排泄されて減ってしまうのです。

乳酸菌と糖の関係

メチニコフは、実際に自分で純粋培養したブルガリア菌と一緒に、しょ糖と乳糖も服用していました。
しょ糖も乳糖も、乳酸菌のエサとして、腸内を酸性にするのに役立つものです。
現在では、オリゴ糖が乳酸菌の働きをサポートし、腸内環境を良くするサポートをすることが知られていますが、これもメチニコフが提唱したのがきっかけです。

腸の健康は食生活で改善できると説いた

ヨーグルト不老長寿説は、ヨーグルトさえ食べていれば不老長寿が実現できるという説ではありません。
ヨーグルトを摂取することは大前提として、飲酒や喫煙などの生活環境の改善、一緒に食べるものの大切さなども説いています。

今も、乳酸菌の研究は進んでいます。
メチニコフの研究によって腸と腸内フローラの研究は進み、大腸がただの便をためておく袋ではないことも、悪玉菌の生み出す有害物質が数々の病気を引き起こすことも、次々と知られてきています。

ブルガリアヨーグルトに不老長寿の夢を見たイリヤ・メチニコフ。
残念ながら、ヨーグルトも不老長寿の特効薬ではありませんでした。
けれど、確実に健康に効果があり、アンチエイジング効果も期待されている食品として、メチニコフの功績は現在まで脈々と続いているといえるのです。